平成24年度 卒業式―心豊かに「かがやく」こと―
日時:平成25年3月25日(月) 11:00~12:00
場所:奏楽堂?
式次第
1. 奏楽
2. 学位記授与(学部卒業生)
3. 学位記授与(大学院修了生)
4. 修了証書授与(別科生)
5. 卒業?修了買上作品認定書授与
6. サロン?ド?プランタン賞授与
7. アカンサス音楽賞授与
8. 大学院アカンサス音楽賞授与
9. 学長式辞
10. 役員等紹介
11. 奏楽
3月25日(月)、11時より奏楽堂にて平成24年度卒業式が実施されました。
今年の卒業式は、松原勝也教授、市坪俊彦准教授、山崎伸子教授と学生による奏楽 弦楽四重奏曲 ニ長調「ひばり」より第一楽章(ハイドン作曲)の軽やかで清廉な響きで幕を開け、引き続き宮田亮平学長から卒業生、修了生それぞれの総代に学位記が、また別科修了生総代に修了証書が授与されました。
その後一旦暗くなった会場に、小島直文准教授、味見純准教授、盧慶順准教授をはじめとした邦楽科教員?学生による謡と囃子が鳴り響き、作務衣に着替えた宮田学長が優美に日舞を舞う牧眞弓准教授に導かれて改めて登壇し、卒業生からの喝采を受けながら、縦横約2mの特製パネルに「煇」という文字を揮毫しました。
学長式辞では、「火(ひ)」と「軍(ぐん)」とが重なった「煇(かがやく)」という文字を、「きらめきを心の中に持ち志を同じくする仲間と一緒に前進することで、素晴らしい『かがやき』を得るに至った今日のあなたたちを表した文字」と説明し、「藝大で培ったその輝く力で、大いに世の中に影響を与えていってもらいたい。また『かがやき』を失いかけている人がいたら、自らの『かがやき』で優しく包んでそれを甦らせ、共に素晴らしい世界を作っていくことも、あなたたちの使命だ」と 広い世界へと旅立つ若者たちを激励しました。
引き続き、古賀慎治准教授と器楽科の研究員?学生による「高貴なる葡萄酒を讃えて」より「シャンペン」(ゴフ?リチャーズ作曲)が華やかに演奏され、希望に満ち溢れる卒業生?修了生たちを祝福しました。
卒業?修了、本当におめでとう。
諸君と共に、今日この日を喜びたいと思う。人生の中には、喜びよりもむしろ苦しみや、悲しみや、また何も感じない日々の方が多いと思います。その苦難などに負けずに、勇気をもって立ち向かい、乗り越えて、その後に今日のような喜びがあるのではないでしょうか。
振り返れば2年前、3.11の悲しいことがありました。卒業式も入学式も、残念ながらできませんでした。その2つの式を迎えることができずに、今日を迎えた修了生もこの中にはいっぱいいるのではないでしょうか。そういう意味を考えれば、感慨もひとしおであります。
この国難を乗り越え、勇気をもって、藝術をとおして、素晴らしい国づくりをしていこうではありませんか。この東京藝術大学で培った素晴らしい色々な手腕を発揮できる機会と考えようではありませんか。
今、素晴らしい邦楽の先生方の演奏のもと、気持ちよくこれを書かせてもらいました。どんな字かわかりますか。これはね、「煇(かがやく)」という字なんです。
ちゃんと先生方にも見えるようにしてあります。この細やかさも大事。
しかし、よく見てごらん。(字の偏(へん)の部分を指して)普通は「光(ひかる)」という字です。しかし殷や周の時代には、これは「火」、「炎」だったんです。火は太古より人々が大切にし、こちらは「軍」、軍とは志を同じくする仲間が、しっかりとした目標を持って共に前進することです。光り輝いたものと、友と、一緒に前に向かって進んでいく。この2つが重なったとき、素晴らしい「かがやき」ができるのです。
人が生きるときに、心豊かに輝くこと。
心の中にきらめきをもつということ。
その、中にある「かがやき」がどんどんと醸成されていき、膨らみ、外面にまでその「かがやき」が溢れている。まさしく今日のあなたたちです。その魅力をもって、大いに世の中に出て影響を与えてもらいたいと思います。この藝大で培った、素晴らしいその力を、大いに発揮してもらいたい。
今、諸君らには「かがやき」がある。しかし社会に出たとき「かがやき」を失いかけている人がいる。その時には、あなたたちが今まで培ったこの「かがやき」をもって、優しく包んでやってください。そうすれば必ずや「かがやき」は甦り、共に素晴らしい世界を作ることができます。そういう使命もあなたたちに課せられているのです。そういう意味からいくと、この「煇」という字、諸君らにはちょっと良いでしょ。
さあ、もうちょっと明るくしてもらおう。照明さん、もっと学生を明るくしてください。
今日は保護者の皆様は、体育館などでこの姿をご覧になっていると思います。カメラさん、私は映さなくていい。みんなを映してください。そして頑張った彼らに拍手を送ってください。
今日このバルコニー席にいらっしゃるご来賓の方、ならびに先生方、ありがとうございます。素晴らしい学生たちを育ててくれました。さあ、諸君から先生方に感謝の拍手をしよう。ありがとうございます。
(会場から拍手)
そして私たち教員や学生を陰からしっかりと支えてくれた事務職員の皆様にも、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
(会場から拍手)
どうか勇気をもって、そしてこの「煇」をもって前に進み、国づくりの担い手になってください。
今日は卒業?修了、本当におめでとう。