東京藝術大学は、我が国の芸術文化の継承?発展に寄与するとともに、常に世界を志向し、世界レベルの諸活動を展開してきた。これは、日本の芸術教育の礎を築いた岡倉天心、伊澤修二の両巨頭時代以来の本学の歴史そのものであり、世界に羽ばたく芸術家を輩出し、アジアにおいても確固たる地位を確立し、グローバルスタンダードな大学としての地位を築いてきた。
然るに今日、我が国の更なる発展が求められる中、国立大学としての藝大が果たすべき役割は、はたして何か。 ?
激動の時代である今、国家戦略実行の担い手となり、我が国固有の芸術文化を、より一層振興し国際発信していくとともに、国際舞台で躍動する傑出した芸術家育成をはじめ、我が国の芸術文化力を根源として国家繁栄に寄与することこそが、本学に課された使命であろう。
? この度、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成事業」において、全国37のスーパーグローバル大学の一つに、芸術系大学として唯一採択され、さらに平成27年度概算要求では、「国立大学の機能強化」において、世界水準の教育研究活動の飛躍的充実を目指すべき14大学として選定された。
このことは、藝大にしかできない“芸術文化”という独自の登頂ルートで、世界を相手に伍して競い、“世界の頂”を極め、我が国はもとより、世界の芸術文化発展に尽くすことが新たな使命として明確化されたことに他ならない。
? 2020年の東京オリンピック?パラリンピック開催に伴う“文化プログラム”の実行をはじめ、本学が立地する“上野の杜”の国際的芸術文化都市への発展も視野に、既に世界水準にある“個の力”を一層高め、さらに組織としての“藝大力”へと発展させて、世界一流芸術系大学をも凌駕?超越し、“世界の頂”へと飛躍することを、学長として、ここに宣言する。
創立128周年の記念日である本日が、東京藝術大学の新たな歴史の幕開けであり、“ときめき”に満ちた未来への船出となる。
平成26年10月4日
東京藝術大学長